酸素を全身に届ける!
鉄の主なはたらきは、全身に酸素を運搬すること。
鉄が不足すると結果的にヘモグロビンも不足するため、体内に酸素がいきわたらなくなります。
疲労感や息切れなど、筋肉の酸素不足を原因とする症状のほか、記憶力や学習能力の低下情緒不安定など、脳内の酸素不足を原因とする症状も現れます。
また、体は皮膚よりも脳と心筋への血液量を優先して確保するため、皮膚の血流が低下し、顔色が青白くなったり、下まぶたの裏側が白っぽくなっていたら、鉄不足の疑いがあり、要注意です。 |
免疫機能にも関係
鉄は、口の中の粘膜などの免疫機能を高める働きもあります。
口内炎や口角炎の予防や治療には、鉄を補給することが有効です。
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吸収されやすい鉄と
吸収されにくい鉄
食べ物に含まれる鉄には、
2つのタイプがあります。
肉や魚などに含まれるのが”ヘム鉄”
一方、野菜などに含まれるのが”非ヘム鉄”です。
ヘム鉄の吸収率が10〜20%に対して
非ヘム鉄の吸収率は、5〜10%。
含有量が同じ食品なら動物性食品の方が吸収率が良いということになります。
また、ヘム鉄は、非へム鉄の吸収を促す働きもあるので、ホウレンソウなど鉄が豊富な野菜を肉や魚などの動物性タンパク質と一緒に食べると鉄の吸収率が上がります。 |
機能鉄と貯蔵鉄
鉄の重要な働きは、細胞が欲する酸素を全身に届ける役目ですが、 この役割をはたす鉄は”機能鉄”と呼ばれ、血液中の赤血球でヘモクロビンの構成要素となっています。
この機能鉄となっているのは、
体内にある約3.5〜4.5gの鉄のうちの約60%。
総鉄量の約20〜25%は、”貯蔵鉄”として
肝臓や脾臓などに蓄えられています。
食品でも肝臓にあるレバーに
鉄が豊富なのはそのためです。
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新生児と鉄
新生児は充分な貯蔵鉄を持って生まれてきます。これは、母乳に鉄分が少ないため、予め必用な鉄が準備されているということ。
しかし、その貯蔵鉄も生後6〜24ヶ月の間に尽きてしまいますので、離乳食で鉄をうまく補うことが大切です。
妊娠中の母親が貧血気味であったときは、新生児の貯蔵鉄が少ない場合もあり、2歳ごろまでに貧血になった場合、言語や運動能力の発達が遅れる場合があります。
妊娠中の栄養補給は大切ですね。
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* 鉄は体内でリサイクルされている
鉄は1日に20〜25mgがヘモクロビンになります。
しかし、成人が1日に吸収できる鉄の量は、1|1.5mg。 それでも多くの人が鉄欠乏性貧血にならないのは、古くなった赤血球中の鉄が、排泄されずにもう一度、赤血球にリサイクルされているからです。
*過度のダイエットは鉄不足の元!
ダイエットによる極端な食事制限は鉄不足を招きます。
多くの女性は鉄の吸収率の良い肉、魚などのタンパク質をさけ、吸収率の低い野菜や豆類、海藻類を摂りがちです。
10代の女性は月経も始まる大切な時期。貯蔵鉄が不足状態にならないよう注意しましょう。 |
◆ 月経で失われる鉄はどのくらい?
正常な月経の場合、最大で60〜80mlの出血があります。血液1mlにつき、0.4mgの鉄量が含まれているので、およそ25〜30mgもの鉄が1度の月経で失われてしまう計算になります。
成人女性の鉄の1日の平均推定必要量は9mgということを考えるとその損失量は想像以上に多いといえるでしょう。
鉄は、体内で何度も繰り返し使用されますが、毎月生理が訪れる女性は、男性よりも鉄が不足しがちなので積極的な鉄補給が必要です。 |
◆ 冷え性や肌のくすみも・・・
思春期の女性は、急な成長と月経によって鉄不足に陥る可能性が高まります。
その場合、脳や心臓へ優先的に血液が送られるため、皮膚の血流がわるくなり、肌がくすんで疲れたように見える場合があります。
また、鉄が足りなくなるとヘモクロビンが酸素をうまく運搬できなくなり、全身の細胞がエネルギー不足となり、血行も悪くなって冷え症になってしまいます。
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□ 貧血気味
血液中の鉄が不足すると、肝臓などに蓄えられている貯蔵鉄が使われます。 しかし、そのまま鉄不足が続くとヘモグロビンの生産力が低下し、鉄欠乏性貧血を起こします。
□ 口内炎ができやすい
鉄は、口内などの粘膜を正常に保ち、免疫機能を高めるのに役立っています。 そのため、鉄が不足すると免疫力が落ち、口内炎ができやすくなります。
□ 食欲不振
無力感に襲われたり、食欲が減退したりするときは、全身の酸素不足が疑われます。
食欲が無い時でもレバーなど鉄を多く含む食べ物を摂取するように心がけてみましょう。
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□ 動悸、息切れがする
鉄が足りないと、血液の循環を良くしてたくさんの酸素を体内の細胞へ運ぶため、心臓に負担がかかります。その結果、動悸が起き、それでも脳が酸素不足になっているとめまいが起こります。
□ 疲れやすい
血液中の酸素が減るとヘモグロビンも減るので、筋肉組織内に酸素が充分に運ばれません。
その結果、疲れやすくなります。
これは、鉄欠乏性貧血が起こる前兆でもあります。
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